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F社訪問の項で詳しくふれる。
イタリアのイベコは、コーチ2台と汎用車1台の展示で、昨年発表した低床バス(シナイクラス)の出品は無し。
ミニバスの車体製造のオートカーズは少人数の観光用ミニバス3台の展示。
ドイツのゼトラは、ベンツの傘下に入ったため、ドイツ国内向け低床バスからは撤退し、観光バスとインターシティクラスの展示。後者は、都市内用低床バスが一段落した最近低床モデルが各社から出されているもので、ゼトラからはS315NFが登場した。駆動系はベンツのそれに準じ、水平エンジン左寄せで、(後部にはスロープがあるものの)ノンステップフロアを実現している。座席はハイバックシートで、通路より段上げした部分に取り付けられている。なお、同車はバスオブザイヤ96を受賞した。
ドイツのエルンストアウベルターは、小から大まで3台の観光車(いずれもシャーシはベンツ)を展示した。いずれも大きな曲面ガラスを多用したデザインで魅力的である。なおVWのシャーシを用いた低床ミニバスの出品は無し。
ルノー(RVI)は、地元フランスということもあり、広大なスペースに多数のバスを展示した。主役は新型観光バスシリーズのイリアーデで、異なる仕様の4台を並べた。このほか、汎用観光車、インターシナイ車、そして昨年発表した新型路線バスのアゴラなどを出品した。アゴラは、従来のワンステップ車R312をべースに低床化をはかったものであり、エンジンは横置き、アングルドライブの駆動方式を踏襲している。エンジンの搭載の向きは、むしろ右ハンドルに適した方向で、駆動軸が右側を通るため、後扉部は低床化できず、ワンステップのままとなっている。車室内のエンジンルーム部は完全なデッドスペースと割り切っているため、エンジンは比較的高い位置に搭載してあり、大きく開く点検蓋により整備性はかなり良い。
フランスの車体メーカ・ユーリエは、路線バス主体に4台の展示。93年に発表したアクセスバスシリーズは、当初からのルノーのシャーシにGX317の他、昨年追加されたボルボB10LシャーシのGX217、同連節タイプなどがカタログモデルになっている。317はルノーR312と同様のエンジン横置きアングルドライブ、217は水平エンジンの後部左寄せタイプで、いずれも後扉はワンステップとなっている。展示車両では、317の後部シート配置が、L字型のベンチタイプとなっているのが目新しい。このほかは、汎用観光車やインターシティに適するGX57、87(連節)が、ボルボのエンジン搭載で、展示された。
ボルボ、ベルコフ、ヨンケーレ、ネオプランは、いずれも観光車のみの出品であった。ネオプランの新世代スーパーハイデッカN516スターライナが新型として目新しいほか、特記すべきことはない。
以上、ミットカー・パリの展示車両を概説したが、本来のショウの目的が観光にあるため観光車主体の展示であったが、そのなかで出品された低床バスはいずれも特徴のあるもので、興味深かった。欧州は低床バスの生産が一般的になり、初登場の世代から次の世代のモデルが模索されているように思えた。

 

(4)ストラスプールのライトレール
ストラスブールはドイツ国境に近いフランスのアルザス地方の主要都市で、43万人の

 

 

 

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